轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
畜生、ちきしょう、さあ殺せ、と三平は泣きだした。ひとおもいに殺しゃあがれ、うう、おらあ、もう眼が見えねえ。
幹太郎は刀にぬぐいをかけ、鞘に納めながら外へ出た。
さいわい、長屋は空家ばかりで、これだけの騒ぎに出て来る者もなかった。三人は路地をぬけて堀端へ出ると、いま、『北辻橋』と云ったのとは逆に、東へいって千間川のほうへ曲った。
「おらも伴れてってくれっか」と、走りながら、幸坊が訊いた。
いいだろう、と幹太郎はお豊を振返った。お豊は手拭を出して、あねさんかぶりにしながら、幹太郎を見て「あんた、あてがあるの」と反問した。ない、だがどうにかするさ。あたし一文なしよ。わかってる、だが幸坊は伴れていってやるほうがいいか。そうね、置いてはゆけないわねえ、とお豊が云った。でも平手さんしだいだわ、足手まといなら返しましょう。大丈夫だよ、ねえちゃん、と幸坊が云った。いそぎ足にゆく二人におくれまいとして、まっ赤な顔をして走りながら、彼はお豊の袂をぎゅっと握った。
「おら、厄介はかけねえよ、ほんとだよ、ほんとに厄介はかけねえから、ねえ」
「わかった、いっしょに伴れてゆくよ」