轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
「それで――」
「そういうわけで、まだはいったばかりでもあるし、稽古をぬけるわけにはゆかないだろうし、彼もちょっと困ると思うんです」
「でも――ほかのことではなく父が死んだのですから」
かやは平八を縋るように見た。
平八は頷いた。慥かにそのとおりである、だが平手の帰国が許されるとは思えない。伊達家ではおそらく他から人を雇うだろう。扶持を与え始めてから一と月そこそこだし、稽古をやめて待つほどの好意をもつまい。おまけに人は余っている。伊達ほどの大藩が求めるといえば、いくらでも即座に集まるに相違ない――平八はこう思った。
「とにかく」と、彼は云った、「下屋敷は品川のさきで遠すぎますから、私がいって平手に話すことにしましょう」
「わたくしでは、いけないのでしょうか」
「ところが遠すぎるし、話の都合で平手を伴れて来ます、そのほうが好便ですから」
平八はそう云うと、すぐに座を立った。
彼は親類の者が来たからといって、外出の許しを乞い、かやといっしょに道場を出た。
四辻のところまで、駕籠をひろいにゆく途中、かやは平八の足を見て「どうなすったのか」ときいた。そのときの気遣わしげな眼の色と、いかにもいたわしそうな表情とは、平八の心に強くあたたかく、そして深い印象を与えた。