轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
上村と伊勢は頷いた。幹太郎は「ではあがろう」と云い、重四郎の肩をもういちど叩いて、
「野口はあとで私の部屋へ来てくれ」と云った。
水を浴びて着替えをし、蚊遣りの焚いてある縁側で涼をいれていると、野口重四郎が廊下づたいにやって来た――道場に附属したこの住居は、十畳と八畳の客間が並び、ほかに居間、寝所、納戸という広い間取で、べつに掃除や炊事をする六兵衛という下僕夫婦の小屋が付いていた。客間が二つ並んでいるのは、道場の行事が行われるとき、襖を外して広く使うためで、十畳のほうは、書院造りになっていた。
幹太郎は六兵衛を呼んで茶を命じ、八畳の客間のほうへ重四郎を招いた。
重四郎は目付役野口雄策の三男で、家格は『代々召出』といい、伊達家では中位の下に当る。去年、十九歳で下屋敷詰の小姓組にあげられたということであるが、道場での成績は群を抜いており、上村、伊勢よりも上を使うのではないかと思われるほどであった。――二十歳という年にしては体も小柄だし骨も細く、顔だちもととのいすぎていて、ぜんたいがひどくきゃしゃにみえた。それが竹刀を取って道場に立つと、人が変ったように精悍になり、体までひとまわりも大きくなるように思われる。