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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

一股傷折

一

と云いきって、さて、

「誰ぞ、制先の勢となって、敵の様子をうかがい来れ」

と下知すれば、夏侯尚は勇んで立ち、

「それがし、先鋒となって進みましょう」

「うむ、汝先陣となるか。されば黄忠と鋒を交え、詐り負けて退却せよ、われに深き計あれば、必ず黄忠を擒にして見せよう」と勇み励ました。

夏侯尚は命の通り、三千余騎を率いて山を下って行った。

その頃、黄忠は兵を従えて、法正とともに、定軍山の麓まで押し寄せ、数度となく攻め挑んだが、魏の軍は固く閉じて現れないため、直ぐにも攻め上ろうとの試みも、山道はなかなか嶮岨であるし、或いは敵に思わぬ計もあるかも知れぬと警戒して、山麓に陣を布き、随所に斥候の兵を出した。

間もなく、その斥候から、山上より魏兵来る、と報告してきたので、黄忠はみずから出陣しようとすると、大将の陳式がこれをとどめ、

「老将軍みずから、なんで敵に当る必要がありましょう。私に千騎を任せられるならば、背後の細道より山上に向い、両方より挟みうちに致して討ち果たしましょう」

という。黄忠は実にもと、これを許した。

陳式は山の後ろに廻って、喊をつくってどっとばかり攻め上げれば、夏侯尚も御参なれとこれを迎えた。