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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
三
三
岸に一艘の蛮船が見えた。二、三十人の蛮卒も乗っている。息をきって逃げてきた孟獲は、
「おういっ、俺をのせて、すぐ河を渡れ」
と、命じるや否、宙を駈けてきた勢いでそれに飛び乗った。同時に、舟中の人数はこぞり起って、
「得たり!」とばかり艫や舳へ立ち別れ、前後から孟獲の上へまたわッと圧し重なった。
「あっ。うろたえるな。俺だ。孟獲だっ」
喚きもがくのを、遮二無二、がんじがらみに縛って、
「浅慮者め、われわれは馬岱軍の一手だ。いざ丞相の陣所へ来い」
と、陸上へ担ぎ上げた。
孔明の本陣は、その夜も、捕虜で充満していた。彼は兇悪なる者を十人斬って、そのほかは皆、酒を飲ませ、或いはこらしめに尻を打ち叩き、或いは、物など恵んで、ことごとく追い放してしまった。
「孟獲はどうしましょう」
幕僚たちが、最後に訊いた。孔明はやおら、彼の前に、床几を取って、
「また来たか。孟獲」
と、揶揄した。
孟獲は、二回の体験で、いくらかこつを心得てきたらしい。憤然と答えて、
「こよいの敗れは、愚かな弟の奴めが、がつがつと酒食をむさぼりおったので、この孟獲の計を味方から壊してしまったためだ。