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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
桃園終春
一
恩爵の勅に接した日も、張飛は勅使をもてなした後で、
「なぜ、蜀の朝臣どもは、帝にすすめて、一日もはやく、呉を伐たんのか」
と、まるで勅使のせいのように激論をふっかけた。
桃園終春
一
斗酒を傾けてもなお飽かない張飛であった。こめかみの筋を太らせて、顔ばかりか眼の内まで朱くして、勅使に唾を飛ばして云った。
「いったい、朝廷の臣ばかりでなく、孔明なども実に腑抜けの旗頭だ。聞けば、孔明はこんど皇帝の補佐たる丞相の任についたそうだが、彼を始め、蜀朝の文武は、栄爵に甘んじて、もう戦争の苦しみなどは、ひそかに厭っておるんじゃないか。……実に、嘆かわしい小人どもではある。不肖、張飛の如きにまで、今日、有難い恩爵を賜わって、不平どころか、有難いと思うことは人一倍も感じておるが、それにつけても、関羽が世にいないことを思うと、呉に対して、いよいよ報復の軍を誓わずにおれん。……無念だ、残念だ、呉を亡ぼさぬうちに、自分たちのみが、こんな恩命に温まって無事泰平に暮しておるのは、相済まなくて仕方がない。地下の関羽が、どんなに歯ぎしりしているかと思うと……」
張飛は哭きだした。
酔いと感情が、極点に達すると、彼はいつも、悲憤して哭くのが癖であった。