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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
二
忌憚のないところをいってくれ」
馬謖は、黙然としていたが、やがて、
「それは実に難しいことですね。功を立てることは易しいが、実果を収めるのは難中の難事です」
と、若者らしく率直な言葉でいった。
二
「難しいとは、どう難しいのか」
孔明が、鸚鵡返しに訊くと、馬謖は、
「古来、南蛮を討つに、成功した例はありません」と、冒頭して、
「――しかし、丞相のことですから、今大軍を率いて、それに向われる以上、必ず大功を収めて、征伐を果されるでしょう。けれどまた、ひとたび都へかえる時は、たちまちもとの状態に戻って、蛮族どもは、乱を思い、虚をうかがい、決して王化に服しきるものではありません」
と、はばかりなく断言した。
孔明はうなずいて見せながら、
「しかもなお、そういう未開の夷族をして、王化の徳を知らしめ、心から畏服せしめるには、如何にせばよいと思う?」
「難中の難事たる所以は実にそこにあります。兵を用いるの道は、心を攻むるを以て上とし、武力に終るは下なりと承っています。ねがわくは丞相の軍が、よく彼を帰服せしめて、恩を感じ、徳になつき、蜀軍が都へ引き揚げた後も、永劫に王化はあとに遺って、二度と背くことのないようにありたいものと存じます」