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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

二

――が、私が哭いたのは、自分の辱をめそめそしたわけではありません。あなたの息子たる者のために、憤慨にたえないのです」

「おや。どうしてだえ?」

「この歴城にありながら、乱賊馬超の蹂躙にまかせ、一州の士大夫ことごとく辱をうけている今日をよそに、何を安閑としているのでしょう。あの若さで。……私はそれを憤りに参ったのです。あれでも貞賢な叔母上の息子かと疑って」

「……たれかいませんか。姜叙をお呼び、姜叙を」

彼女が、侍女の部屋へ、こう告げると、一方の帳を払って、

「母上。姜叙はこれにおります。お起ちには及びません」

と、ひとりの青年が入ってきた。これなん歴城の撫夷将軍姜叙だった。

二

いうまでもなく姜叙と楊阜とは従兄弟のあいだがらになるし、また、姜叙と韋康とは、主従の関係にある。

当然、歴城の兵をひきいて、韋康を赴援すべきであったが、その滅亡の早かったため、兵をととのえて馳けつけるに間に合わなかったものである。

「さきほどから帳の蔭でおはなしを伺っていると、阜兄はこの姜叙が安閑としているのを、ひどくご憤慨のようですが、そういうあなたこそ、一戦にも及ばず馬超に降伏して、冀城を渡してしまったではありませんか。