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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

五

何者かが後ろから弱腰を突いたものとみえる。同時に、城門は内から開いた。

たちまち、城頭に、玄徳の旗がひるがえった。城中の者、ほとんど七割まで、降伏した。

劉璋の嫡子劉循は、この急変におどろいて、北門の一方からわずかな兵と共に、取る物もとりあえず、逃げ出していた。一目散、成都をさして。

「劉※を矢倉から蹴落したものはたれか」

占領後、玄徳がただすと、

「――武陽の人張翼、字は伯恭というものです」

と、侍側から申達した。

すなわち謁を与えて、玄徳は、張翼を重く賞した。

五

城の市街は、平静にかえった。避難した民も城下へぞくぞく帰ってきて、

「やれやれ、ありがたいお布令が出ている」

と、高札を囲んで、新しい政道を謳歌した。

孔明は、微行して、一巡城下の空気を視察してもどると、

「ご威徳はよく下まで行き渡ったようです。この上は、成都の攻略あるのみですが、功を急いで、足もとを浮かしてはなりません。まず※(「各+隹」、第3水準1-93-65)城を中心として、附近の州郡にある敵性を馴ずけ、悠々成都に迫るもおそくないでしょう」と、玄徳へいった。

「いかにも」

と、玄徳も同じ気もちであったとみえ、すなわち隊を分って、各地方へ宣撫におもむかせた。