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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

二

「きょうこそは、華々と」

呉の凌統も、手に唾してそれをむかえた。甘寧が昨夜すばらしい奇功を立てて、君前のお覚えもめでたいことは、もう耳にしている。で、勃然、(彼如きに負けてなろうか)という日頃の面目も、今日の彼には、充分意中にある。漠々とけむる戦塵の真先に、張遼のすがた、その左右に、李典、楽進など、呉の兵を蹴ちらし蹴ちらし馳け進んできた。

凌統は、馬上、刀をひっさげて、疾風のように斜行し、

「来れるは、張遼か」

と、斬りつけた。

「おれは、楽進だ」

とその者は、槍をひねって、直ちに応戦してきた。

人違いか――と、舌打ちしたが、もうほかを顧みるいとまもない。楽進を相手に、五十余合も戦った。

すると、彼方の張遼のうしろから、曹操の御曹司曹丕が、鉄弓を張って、ぶんと矢を放った。

凌統を狙ったのだが、すこし外れて、その馬にあたった。

「しめたっ」

と楽進は、槍を逆しまにして、地上へ向けた。凌統が勢いよく落馬していたからである。

ところが、その時また、どこからか一本の矢がひょうッと飛んできた。楽進の真眉間に立ったので、楽進は、槍を投げて、鞍上からもんどり打った。