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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

三

「行って参ります」と、仔細を告げた。

太后も仰天されて、

「どうしてあの孔明が、先帝の遺勅に反くようなことをもうするのであろうか」

と、自身駕を向けて、孔明に問わんといわれたが、太后の出御を仰ぐのは、あまりに畏れ多いと、帝は直ちに丞相府へ行幸された。

愕いたのは、市吏や門吏の輩である。突然の行幸に、身のおくところを知らず、拝跪して、御車を迎えた。

「丞相はいずこに在るか」

帝は車を降りて、三重の門まで、歩行してすすみ、吏に問われると、吏は恐懼して拝答した。

「奥庭の池のほとりで、魚の遊ぶのを根気よく眺めておられます。多分、いまもそこにおいでかと思われますが」

三

帝はただおひとりでつかつかと奥の園へ通って行かれた。見ると果たして池の畔に立ち、竹の杖に倚って、じっと、水面を見ている者がある。

「丞相、何しておられるか」

帝がうしろから声をかけると、孔明は杖を投げて、芝の上に拝伏した。

「これは、いつの間に? ……お迎えもいたさず、大罪おゆるし下さいまし」

「そのような些事はともあれ、魏の大軍が、五路に進んで、わが境を犯そうとしている。丞相は知らないのか」

「先帝、崩ぜられんとして、不肖なる臣に、陛下を託され、また国事を嘱し給う。