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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

二

翌朝、ふと庭面を見ると、妻は庭の落ち葉を積んで、焚火をしていた。呉押獄は、あっと驚いて、

「ばかっ。何をするか」

と、焚火を踏み消して叫んだが、青嚢の書はもう落葉の火と共に灰になっていた。

彼の妻は、血相を変えて怒り立つ良人へ、灰の如く、冷やかに云い返した。

「たとえあなたの身が、どんなに流行るお医者になってくれても、もしあなたの身が、この事から捕われて獄へひかれたら、それまでではありませんか。私は禍いの書を焼き捨てたのです。いくら叱られてもかまいません。良人を獄中で死なすのを、妻として見ているわけには参りませんから」

――ために華陀の「青嚢の書」は、遂に世に伝わらずにしまったものだということである。そして曹操の病も、その頃いよいよ重り、洛陽の雲は寒々と憂いの冬を迎えていた。

二

冬の初め、ひとたび危篤を伝えられたが、十二月に入ると、曹操の容態はまた持ち直して来た。

呉の孫権から、見舞の使節が入国した。書簡のうちに、呉はみずから臣孫権と書いて、

(魏が蜀を討つならば臣の軍隊はいつでも両川へ攻め入り、大王の一翼となって忠勤を励むでしょう)

と、媚を示していた。