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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
三
「だまれ。予は汝の忘恩を責め、逆罪をただしに来たのだ」
「この玄徳は、大漢の宗親。笑うべし、汝何者ぞ。みだりに天子の儀を僭す曲者。きょうこそ大逆を懲らしめん」
戦線数里にわたる大野戦はここに展開された。午の刻過ぎるまで、魏の大捷をもって終始した。蜀の兵は、馬ものの具を捨てわれがちに潰走しだした。
「追うな、退き鉦打て」
曹操は急に、軍を収めた。なぜかと、魏の諸将は疑ったが、曹操は、蜀兵の潰走が、ほんとでないとみたので、大事をとったものだった。
ところが、魏が軍を退くと、果然、蜀は攻勢に転じてきた。どうも事ごとに、曹操は、自分の智慧と戦ってその智に敗れているかたちだった。
三
智者はかえって智に溺れるとかいう。――孔明が曹操に対しての作戦は、すべて、曹操自身の智をもって、曹操の智と闘わせ、その惑いの虚を突くにあった。
かくて、曹操が自負していた智謀も、かえって曹操の黒星を増すばかりとなって、ここ甚だしく生彩を欠いた魏軍は、南鄭から褒州の地も連続的に敵の手へ委して、一挙、陽平関にまで追われてしまった。
蜀の大軍は、すでに南鄭、中、褒州の地方にまで浸透して来て、宣撫や治安にまで取りかかり、遺漏のない完勝ぶりを示していた。