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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
二
城壁の上には無数の弩を据えている。それは一弩に十箭を射ることができ、鏃には毒が塗ってあるので、これにあたると、負傷ということはない。みな皮肉爛れ五臓を露出して死ぬのである。
攻撃三回に及んだが、四度目に孔明は、さっと十里ほど総陣地をひいてしまった。退くことの綺麗さと逃げることをなんとも思っていない点とは孔明の戦法の一性格といえる。
「蜀兵は毒弩を怖れて陣を退いた」
南蛮軍は誇り驕った。
兵法は叡智であり文化である。民度の高さもそれで分る。七日十日と日を経るに従って、彼らの単純な思い上がりは、
「孔明などといっても多寡の知れたものだ」と、いよいよ敵をみくびってきた。
孔明は天候を見ていた。いかなる場合でも彼はなんらかの自然力を味方に持つことを忘れない。
強風の日が続いた。この砂まじりの猛風は明日もまだ続きそうである。
孔明の名をもって、諸陣地に布告がかかげられた。文にいう。
「明夕初更までに、各隊の兵は一人も残るなく、おのおの一幅の襟(衣服)を用意せよ。怠る者は首を斬らん」
何か分らなかったが、厳令なので隊将から歩卒に至るまで、一衣の布を持って、
「いったいどうするのだ、これは?」