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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

三

孟獲は悪夢の中でうなされたようにあッと叫んで引っ返しかけた。

三

四輪車の上の孔明は、綸巾をいただき鶴を着て、服装も常と変らず、手に白羽扇をうごかしていたが、孟獲が仰天して逃げかけるや、大いに笑って、

「なぜ逃げる孟獲。汝はいつも捕わるるごとにいうではないか。武勇なれば負けはしないと。いま後ろを見せるほどでは、尋常に戦っても、この孔明に勝てる自信はないと見えるな」

羽扇をあげて呼びかけた。

――と、孟獲は、憤然と、踵をかえし、

「だまれ。俺がいつ後ろを見せたか」と味方を振り向いて、「やい、諸洞の部下ども、あれにいるのが孔明だ、この人間の計におうて、俺は三度まで辱をかさねた。彼奴に出会ったのは幸い、俺と共にみんなも力を尽して、人も車も微塵になせ。彼奴の首一つ取ったら南蛮国中で祭典ができるぞ」

と、獣王のように猛吼した。

十数人の部下はみな諸洞の中でも指折りの猛者ばかりだし、弟の孟優も重なる怨みに燃えているので、「おうっ」「わあっ」と、喚き合って、どっと、四輪車へ向ってきた。

蜀兵はたちまち四輪車を押して逃げ出した。追うも迅し逃げるも迅かったがその距離がつまる間もあらばこそ、孟獲、孟優そのほかの一団は、天地も崩れるような土煙と共に、いちどに陥し穽へ落ちてしまった。