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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

「何をっ」

ついに、玄徳の命に反いて、無断、関門をひらき、馬超へ向っておどりかかった。

馬超は、もろくも逃げだした。もとより詐術である。それとは張飛もさとっていたが、彼の性格として、

「きたないぞ、馬超。最前の広言はどこへ置き忘れた」

と、追いかけ、追いかけ、つい深入りしてしまった。

急に、駒をとめたと思うと、馬超は振り向いて、矢を放った。張飛は身をかがめたまま、馬の鼻を突進させてゆく。

弓を捨てると、馬超は、銅づくりの八角棒を持って、張飛を待った。張飛の蛇矛は、彼の猿臂を加えて、二丈あまりも前へ伸びた。

「待て。張飛」

うしろの声だった。

玄徳が追ってきたのである。玄徳は、馬超へ向って云った。

「自分は天下へ向って、仁義を旗じるしとし、きょうまで、まだ一度もあざむいたことはない。――自分を信じて、きょうは退き給え、それがしも退くであろう」

終日の戦に、さすが疲れていた馬超は、それを聞くと、

「さらば」

と、玄徳に一礼を投げ、きれいに陣を退き去った。

その夜、軍師孔明が、ここに着いた。

「戦況如何に」と案じて来たものであろう。つぶさにその日の状況を聞きとると、やがて玄徳の前に出て忠言した。