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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
汝、いかに狡智を弄すとも、力をもって荊州を取ることを得んや」
胸中の憤怒を一時に吐いたような玄徳の激色に、ふたりは打たれたように一瞬沈黙していたが、そのうちに孔明が卒然と面をおおって哭きかなしんだ。
「もし兄上をはじめ、妻子一族まで、呉侯のために誅せられたら、孔明はどんな面をして、独り世に生き残っておられましょう……哀しいかな、この絆。ああ苦し、この事の処置」
仰いでは、涙をのみ、伏しては肩を打ちふるわせた。
玄徳は、なお怒気忿々と、色を収めなかったが、次第に感情を抑制して、孔明の心も不愍と察しやるかのように、
「そう嘆かれては、予の胸もつらい。さりとて荊州は還し難し、軍師の悲嘆は黙し難し。……そうだ、ではこうしてつかわす。荊州のうち長沙、零陵、桂陽の三郡だけを呉へ還してくれる。それなら呉の面目も立ち、瑾の妻子も助けられよう」
「かたじけのう存じます」と孔明は拝謝し、また感激して、
「では、その趣を、ご書簡にしるして、兄上へおさずけ下さい。――兄上はそれをたずさえて荊州へ赴き、関羽と談合の上、移譲の手続きを運びましょうから」と、いった。
玄徳はすぐ書簡を書いて、瑾へ渡したが、