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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
ふと横を見れば、曹操が立っているのだ。穆順はゾッとして毛孔をよだてた。
「何処へ参った」
「は。……はい」
「はいではない。返辞を求めるのだ。今頃、何処へ使いに出たか」
「実はその、お后さまが、夕刻からにわかにご腹痛をお催しあそばしたので、てまえに医師をつれてこいとの仰せに、医師を求めに参りました」
「うそをつけ」
「いえ。ほ、ほんとです」
「宮中にも典医はおる。なにしに市へ医を捜しにゆく要があろう。ほかの医者だろう、汝が、求めに行ったのは」
闇のほうへさしまねいて、武士達を呼び、「こいつの体を検めろ」と、曹操は命じた。
武士達は、穆順の衣服を剥いで、足の先まで調べたが、一物も出ないので、科めるかどもなく、遂に、彼を放した。
虎の口をのがれたように、穆順は衣服を着直すとすぐ走りかけた。
すると、頭にかぶっていた帽子が、夜風に落ちた。
あわてて拾いかけると、
「こらっ、待て」
曹操は、自分でその帽子を取って、仔細に検めた。
帽子の中からも、何も出なかった。汚い物を捨てるように、
「行け」
と、投げ返してやると、穆順は、両手に受けて、真蒼になった顔の上に、それをかぶった。