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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

「全市全城を焼き払おう」と、焦土戦術を主張し、楊松は反対して、

「すみやかに降伏し給え」と、無血譲渡をすすめた。

張魯は、顛倒の中にも、

「国財は、民の膏血から産れた国家の物である。私にこれを焼棄するは、天を怖れぬものだ」

と、よく事理を分別して、城内の財宝倉廩に、ことごとく封を施し、一門の老幼をつれて、その夜二更の頃、南門から落ちのびた。

占領後、曹操は、

「官庫の財宝を封印して、兵火や掠奪から救い、そのまま、次代の司権者に渡すとなした張魯の行いは、けだし張魯一代の善行といえよう。神妙な仕方というべきだ」

人を巴中に派して、もし降参するなら、一族は保護してやろうと云い送った。

楊松は、すすめたが、張衛は何としてもきかない。勝ち目のない抗戦をつづけ、我から求めて討死してしまった。

残敵を掃蕩しながら、曹操が巴中へ出馬して来たおりに、張魯は城を出て、ついにその馬前に拝伏した。

もちろん楊松が側についていた。楊松は内心、自分の功を、非常に高く評価している顔つきである。

それには眼もくれず、曹操は馬を降って、張魯の手を取った。そして慰めていった。

「倉廩を封じて、兵燹から救われたことは、まさに天道の嘉すところである。