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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
孟達は、左翼から出ようとしたが、まず養子の劉封にここは譲るべきだと思ってひかえていた。すると右陣の劉封は、父玄徳の威をうしろに負って、これも華やかな鎧甲を誇りながら、たちまち駒を飛ばして出た。
だが、曹彰の前に近づいて、十合とも戦わないうちに、その一騎討ちは、誰の眼にも、曹彰の勝利と分った。劉封の武芸は、とうてい、曹彰の相手ではなかったのである。
孟達は、急に駈け出して、
「封君。その敵は、それがしが引きうけた。お退きあれ」
と、入れ代って、自身、曹彰にぶつかった。
劉封は、一言もいわず、うしろを見せて、逃げ走っていた。曹彰は、孟達の邪魔を、振りのけながら、
「逃げるのか劉封。養父の玄徳を嘲ってやるぞ。親の顔へ泥を塗ってもいいのか」
と辱めながら追いかけた。
ところが、彼のひきいる魏の手勢が、うしろのほうから崩れだした。驚いて引っ返すと、蜀の呉蘭、馬超などが、いつのまにか斜谷のふもとへ出て、退路を断とうとしているらしい。
曹彰は、父に似て、兵機をみるに敏だった。すでに多少の損害をうけたが、その禍いのまだ致命とならない間に、さっと軍をまとめ、敵将呉蘭の陣中を突風のごとく蹴ちらして、首尾よく斜谷の本陣へ引揚げてしまった。