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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
――曹操も重なる味方の敗色につつまれて、心中悶々たるものがあった。
「兵を収めて、都へ帰らんか、天下のもの笑いになるであろうし、止まって、この斜谷を死守せんか、日ごとに蜀軍は勢いを加え、ついにわが死地とならんもはかり難い……」
こよいも彼は、関城の一室に籠って、ひとり頬杖ついて考えこんでいた。
ところへ、膳部の官人が、
「お食事を……」と、畏る畏る膳を供えてさがって行った。
曹操は思案顔のまま喰べはじめた。温かい盒の蓋をとると、彼のすきな鶏のやわらか煮が入っていた。
喰らえども味わいを知らずであろう。彼は鶏の肋をほぐしつつ口へ入れていた。
すると、夏侯惇が、帳を払って、うしろに立ち、
「こよいの用心布令は、何と布令ましょうか」と、たずねた。
これは毎夕定刻に、彼の指令を仰ぐことになっている。つまり夜中の警備方針である。曹操は何の気なしに、
「鶏肋鶏肋」と、つぶやいた。
鶏の骨をしゃぶっていたので、無意識に云い違えたものだろう。だが、夏侯惇は、曹操の言なので、何か含蓄のある命令にちがいないと呑みこんでしまい、
「はっ」と、そこを退がるや、城中の要所要所を巡って警固の大将たちへ、