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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
「――ではまず大目に見ておくがここは烽火台もある要塞地帯じゃ、夜明け早々、潯陽のほうへ船を移せよ」と、ある。
「はいはい。それはもう……」
と、七名はもみ手を揃えて、
「有難いおことばを、船の者にもよく云い聞かせて置きますれば」
と、中の一人は岸へ戻った。
するとやがてその男が、さらに十数名の船夫を連れてきた。手に手に酒の壺や食物をさげ、船中一同の感激を陳べ、さらにこれを献上したいと申し出た。
「よかろう。取っておいてやれ」
番将は先に受けた酒を開けてすでにほろ酔い気分である。部下たちもたちまち酔いだした。船中から上がってきた面々は、蛮歌民謡などの隠し芸まで出して、彼らに興を添えた。
そのうちに、番兵のひとりが、
「はてな?」と、耳をそばだてた。
「風?」
「いや、おかしいぞ」
外へ飛び出して、烽火台の上を仰いだ。そこに、わっと声旋風が聞えたからである。
「――あっ。敵だっ」
絶叫したとたんに、一陣の騎馬武者がもうここを取り巻いていた。別働隊は山の裏から這い上がって、すでに烽火台を占領していたのだった。
夜が明けてみれば、昨夜の商船ばかりか、八十余艘の艨艟が江上を圧している。