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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
実に、かつての曹操は、そういう颯爽たる気概をもった青年だった。
ところが、近来の彼はどうだろう。赤壁の役の前、観月の船上でも、うたた自己の老齢をかぞえていたが、老来まったく青春時代の逆境に嘯いた姿はなく、ともすれば、耳に甘い近側のことばにうごく傾向がある。
彼もいつか、むかしは侮蔑し、唾棄し、またその愚を笑った上官の地位になっていた。しかも、今の彼たるや人臣の栄爵を極め、その最高にある身だけに、その巧言令色にたいする歓びも受けいれかたも、とうてい、宮門警手の一上官などの比ではない。
いま重臣董昭から、
(この際、魏公の位に登って九錫を加えられては如何ですか)
と、すすめられると、曹操はなにをはばかる考えもなくすぐに、
(そうだ、なぜ自分は、今まで九錫を持たなかったろう)
と、すぐその気になって、朝廷にそのゆるしを求めた。もちろんその意のままになる。彼は以後、魏公と称し、出るも入るも、九錫の儀仗に護られる身となった。
九錫の礼というのは、
一 車馬 大輅、戎輅。大輅ハ金車、戎輅ハ兵車ノ事。黄馬八匹。
二 衣服 王者ノ服。袞冕赤。朱ノ履タル事。
三 楽県 軒県の楽、堂下ノ楽。