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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

さなきだにもう心から漢朝を思う忠臣は、多くは亡き数に入り、或いは老いさらばい、または野に退けられて、骨のある人物というものは全くいなかった。

滔々として、魏の権勢に媚び、震い怖れ、朝臣でありながら、魏の鼻息のみうかがっているような者のみが残っていた。

それかあらぬか、近ごろ帝が朝へ出御しても、朝廷の臣は、文武官なども、姿も見せない者が日にまし殖えてきた。或いは病気と称し、或いは先祖の祭り日と称し、或いは届けもなしに席を欠く者が実におびただしい。いや遂には、帝おひとりになってしまわれた。

「ああ。いかにせばよいか」

帝はひとり御涙を垂れていた。すると、帝のうしろから后の曹皇后がそっと歩み寄られて、

「陛下。兄の曹丕からわたくしに、すぐ参れという使いがみえました。玉体をお損ね遊ばさぬように」

意味ありげにそう云いのこして、楚々と立ち去りかけた。

帝は、皇后がふたたび帰らないことを、すぐ察したので、

「お身までが、朕をすてて、曹家へ帰るのか」

と、衣の袖を抑えた。

皇后は、そのまま、前殿の車寄せまで、足をとめずに歩んだ。帝はなお追ってこられた。すると、そこにたたずんでいた華が、