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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

「陛下。しばしお待ち下さい。先鋒の印は、かく申す私にこそ、曲げてお授け賜わるように」

誰かと、諸人目をそばだてて声の主を見ると、関羽の次男関興であった。

関興は進み出て、地に拝伏し、涙をながして、なお帝に向って訴えた。

「それがしの亡き父こそ、実に今日の戦を――また私の働きをば、地下において、刮目して待っているものです。なんで、先鋒の一陣を、余人に任せてよいものですか。ぜひとも先鋒の役は、それがしに命じ賜わりますように……」

すると張苞が、

「やよ関興。ご辺は何の能があって、あえて自ら先鋒を望むか」と、横から云いかけた。

関興はにことして、

「我いささか箭をたしなむ」

と答えた。張苞もまた、

「武芸なら余人におくれをとる張苞ではない。この方とて張飛の子だ」

と、ひかない色を示した。

玄徳はあいだにあってこの裁きには難儀な容子を示していたが、

「では、二人して、互いの武技を競うてみよ。勝れたる者へ、印綬を降さん」と、云いわたした。

「さらば、見給え」と張苞は気負って、まず三百歩の彼方に、旗を植えならべ、その旗の上に、紅の小さい的をつけて、弓を放つに、一箭一箭、紅的を砕いて、一つとして過らなかった。