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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

それだけだ」

陸遜はそれだけいうと、

「や。あの山上は、韓当の持ち場ではないか。鋭気があり過ぎる」

心もとなく思ったか、自身馬をとばして、そこへ馳せて行った。そして、

「韓当。軽々しく山を下るな」

と、今しも、兵馬を揃えて、敵前へ駈け下ろうとする彼を押し止めた。

韓当はいきり立って、

「大都督、あれを見ないか、野にひるがえる黄羅の傘蓋こそ、まさしく蜀帝の陣坐するところだ。目前、それを見ながら、内に屈んでいるほどなら、もう戦などはせぬがいい」

「敵の奇変を見ず、ただ形を見れば、そう思うのはむりもない。蜀の玄徳ともある者が目に見えるだけの布陣を以て、身を呉の陣前にさらすわけはない。――浅慮に彼の罠へ士卒を投じるの愚をなすな。幸いなるかな、ときは今、大夏のこの炎天。われ出でず戦わず、ひたすら陣を守って日を移しておるならば、彼は、曠野の烈日に、日々気力をついやし、水に渇し、ついには陣を引いて山林の陰へ移るであろう。そのときに至れば、かならず陸遜は号令一下、諸将の奮迅をうながすであろう。将軍、これも呉国のためだ。乞う、涼風を懐中に入れて、敵の盲動と挑戦を、ただ笑って見物して居給え」