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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

と、韓当、周泰の前に急報した。

「やっ。そうか」

と、ふたりはまた、大都督陸遜の陣まで馬を飛ばして、

「只今、かくかくの報らせがあった」と、告げた。

このときの陸遜の顔はちょうど旱天に雨雲を見たように、何ともいえぬ歓びを明るい眉にあらわしていた。

「オオ。そうか!」

「大都督。すぐ全軍へ。追撃の令を発して下さい」

「いや、待った。――来給え我輩と一緒に」

馬を並べて、高地へ馳けた。

報告だけでは、まだうかつに行動できないとするもののように、彼はその目で、曠野を一眸に見た。

「……なるほど鮮やか」

陸遜は、感嘆の声を放った。兵を退くのは進む以上の技術を要するという。今見れば蜀の大軍は掃いたようにもうあらかた引き揚げていた。そして、呉の陣線の前には、殿軍の一隊が、一万たらず、残っていた。

「しまった。兵機は一瞬に過ぎるというに、大都督の悠長さが、またしても、絶好なときを逸してしまったではないか。この上は、韓当とそれがしとで、あの一万だけでも、殲滅してくれねば気がすまん」

周泰が地だんだ踏んでいうと、陸遜はそれすら抑えて、

「いや、もう三日待ち給え」

と、鞭をあげて、あらぬ方角を指しながら、あえて、逸り立つふたりの言は、耳にもいれなかった。