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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
さあれそこの高きから一方の闇を見渡せば、驚くべし、蜿蜒七十里にも連なる火焔の車輪陣が、地をやき空を焦がしている。ここに立って初めて、玄徳は陸遜の遠大な火計の全貌を知ったのであった。
「恐るべきは陸遜だ」
時すでに遅く、彼が天を仰いで痛嘆したとき、その陸遜の軍は、馬鞍山のふもとを厚く取り巻いていた。そしてこの一山も火と化してしまうつもりか、諸方の山道から火をかけた。百千の大火龍は、宙をのぞんで、攀じのぼって来る。
金鼓のあらし、声のつなみ、玄徳を囲む一団は、立往生のほかなかった。しかし血気な関興、張苞などが側にある。
「お気づかい遊ばすな」
と、火炎のうすい一道から江岸へ出る麓へ向って遮二無二かけ降って行った。
ところが、焔の見えないこの道には陸遜軍の伏兵が待っていた。突破して、危地は抜けたものの、伏兵は数を加えてどこまでも追撃してくる。
「火攻めの敵は火で防げ」
誰やらが、とっさの機智で、道芝へ火をつけた。だが急場の支えに足りない火勢なので、蜀軍はみな矢を折り、甲を投げこみ、旗竿まで焼いて、火勢の助けとした。
そのため、火は樹々の枝へのぼって、いちどに猛烈な火力をあらわし、追撃してくる呉兵をようやく喰いとめた。