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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

仲達の雄弁は、陳べるに従って懸河のごときふうがあった。

「第三路は、すなわち隣好の策を立てて、呉をうごかし、両川、峡口に迫らせ、第四路には、降参の蜀将孟達に命じ、上庸を中心とする十万の兵をもって城を取らしめます。さらに、第五路には、ご一族の曹真将軍を、中原大都督となして、陽平関より堂々蜀に伐ち入るの正攻、大編隊を率いさせ給えば、たとい孔明が、どう智慧をめぐらしてみても、五路五十万という攻め口を防ぐことはできますまい」

規模の遠大、作戦の妙。言々信念をもっていうその荘重な声にも魅せられて満堂異議を云い立てる者もなく、わけて曹丕は絶大な満足をもって、

「直ちにその方針をとれ」

と、決定を与えた。

使者はたちまち五方に急ぎ、魏都の兵府はいまや、異様な緊張を呈した。ただ一抹のさびしさは、この頃すでに、曹操時代の功臣たる張遼、徐晃などという旧日の大将たちは、みな列侯に封ぜられて、その領内に老後を養っている者が多かったことである。

さはいえ、また新進の英俊も決して少なしとはしない。曹操以来、久しく一文官として侍側するに止まっていた仲達が、嶄然、その頭角をあらわして来たことなども、まさに時代の一新を物語っているものであろう。