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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

厳顔はひざまずかない。

張飛は、眼をいからして、

「汝、礼を知らぬか」と、叱咤した。

あざ笑って、厳顔は、

「われ、敵にする礼を知らず」と、冷やかに嘯いた。

張飛は、階をとび降りた。そして佩剣に手をかけて、

「老匹夫、たわ言をやめろ。今のうちに、降参するといわぬと、もうその首が前に落ちるぞ」

「そうか。……首よ。わが多年の首よ。おさらばであるぞ。……張飛、猶予すな、いざ、斬れっ」

みずから頸をのばした。

張飛はふいに彼のうしろへ寄ってその縄を解いた。そして手を取って庁上へいざない、みずから膝を折って再拝した。

「厳顔。あなたは真の武将だ。人の節義を辱めるはわが節義に恥じる。さっきからの無礼はゆるしたまえ」

「君。節義を知るか」

「聞かずや厳顔。皇叔と関羽とこの張飛との桃園の誓いを」

「ああ、聞いておる。君ですらかくの如し。関羽や玄徳はどんな立派な人だろう」

「どうか、その人々と、ともに交わって、蜀の民を安んじてやって下さい」

「君も味なことをいう男だ」

厳顔は張飛の恩に感じて、ついに降伏をちかい、成都に入る計を教えた。

「ここから城までの間だけでも、途中の関門には、大小三十七ヵ所の城がある。