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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
と、戒めた。
馬岱の軍は、十余輛の戦車とともに、その日の夜中から忽然影を消していた。
翌朝、孔明はまた趙雲を呼び、一軍を授けて、
「ご辺は、盤蛇谷の裏から三江へわたる大路へ出で、かくかくの用意をなせ。必ず日限を誤るな」
と、云い渡した。
また、次には魏延が呼び出されて、
「御身は、精鋭を率い、敵の真正面に出で、桃江の岸に陣を構えろ。兵は望むままの数を連れてゆくがいい」と孔明からいわれたので、魏延は、我こそ先鋒の最前線を承る者なり、と大いに歓んでいると、
「だが――」と、孔明は、語を継いで彼の勇躍を押えるようにいった。
「くれぐれも勝ってはならんぞ。もし敵が江を渡って強襲して来たら程よく戦っては退け。陣屋も捨てて逃げろ。――その逃げる先には白旗を立てておく。敵がまた、そこへ襲せてきたら、さらに潰走して、次の白旗の立っている陣まで奔れ。いよいよ、敵は勝ちに乗るだろう。汝は、さらに第四の白旗の見ゆる地、第五の白旗の見ゆる地と、次々陣屋を放棄して、醜く逃げ続けよ」
魏延は面をふくらませた。
「いったい、何処まで逃げろと、仰せられるのですか」
「およそ十五日の内に、十五度の戦いに負けて、七ヵ所の陣地を捨て、ただ身をもって、白旗の見える所へのがれればよいのだ」