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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

逆襲戦では、先頭に進み、兀突骨へ一騎打ちを挑んだ。そして彼の戟先から逃げ走ったので、兀突骨は、

「今こそ」と、拍車を加えて、追いかけにかかった。

誘導作戦はむずかしい。逃げ過ぎても疑われる。魏延は折々、引き返して、敵を罵り、また虚勢を示し、ついに、十五日の間、十五ヵ所の白旗をたどって、逃げに逃げた。

ここに至ってはついに猜疑深い兀突骨も、自身の武勲に思い上がらざるを得ない。部下をかえりみて、大象の上から豪語した。

「なんと見たか。連戦十五日のうちに、蜀の塁を踏み破ること七ヵ所、戦って勝ち抜くこと十五度。すでに桃江から三百余里の間に、一兵の敵もないじゃあないか。さしもの孔明も風を望んで逃げ奔り、大事すでに定まったも同様だ。いちど凱歌をあげろ! 凱歌を!」

あげた戦果と、分捕った酒に酔って、凄じい気焔を示し、無敵藤甲軍の自信いよいよ満々と、次の日の戦いへ臨んだ。

この日、大将兀突骨は白象にのり、白月の狼頭帽をいただき、青金白珠をちりばめた鱗縅しの胴を着込んで、四肢は黒々と露出し、さながら羅漢の怒れるような面をして、蜀軍の中へ、鉄鎗を揮っていた。

魏延はこれを迎えて、奮戦力闘を試みた後、わざと奔って一山を逃げめぐり、盤蛇谷のふところへ逃げこんだ。