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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
ところが、ひとり後主劉禅の憂いに止まらず、出師の表によって掲げられた孔明の「北伐の断行」は、俄然、蜀の廟堂に大きな不安を抱かしめた。
なぜならば、この蜀漢の地は、先帝玄徳が領治して以来、余りにもまだ国家としての歴史が若く、かつは連年の軍役に、まだとうてい魏や呉の強大と対立するだけの実力は内に蓄えられていない。
一昨年、南方平定のため、その遠征に費やした資材、人員だけでも、実のところ、内政財務の吏も一時はひそかに、
(これはたまらない。どうなることか)
と、国庫の疲弊とにらみ合わせて、はらはらしていた程なのである。幸いにも、それは遠征軍の大捷によって償われ、いわゆる耕牛、戦馬、金銀、犀角などのおびただしい南方物資の貢ぎの移入によっても、大いに国力を賑わし得ることは得たが、それもまだ以来一年半にしかなっていない。
「この際、この上にまた、魏を討たんなどという大野望は、ほとんど無謀の挙ともいうべきである」
と、なす議論は、相当、蜀廷の内にもうごいていた。
丞相孔明の決意に出るものなので、あきらかに出師の表に対して、反対を唱える者はなかったが、
「とうてい、勝ち目がない軍だ」