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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
いったいどうしたらよいか。そなたに何か名案はないか」
趙昂の妻は、聞くと涙をうかべたが、その涙をみずから叱るように、声を励まして、良人へいった。
「ひとりの子を顧みて、主命を過ち、郷党を裏切りなどしたらあなたの武士が立たないのみか、ご先祖をけがし、子孫に生き恥をさらさせるものではありませんか。何を迷っていらっしゃるのですか。もしあなたが大義をすてて不義へ走るようなことがあったら、わたくしとて生きてはおりません」
多年連れ添ってきた妻ながら、彼女の良人は、自分の妻の立派なことばに今さらの如く驚いた。
「よし。もう惑わぬ」
姜叙、楊阜は歴城に屯し、尹奉と趙昂は、郷党の兵をひきいて、祁山へ進出した。
すると、趙昂の妻は衣服や髪飾りを、のこらず売り払って、祁山の陣へ行き、
「門出の心祝いです。どうかこれを収めて、士卒のはしにいたるまで、一盞ずつわけてあげて下さい」と、途中、酒賈から購ってきた酒壺をたくさんに陣中へ運ばせた。
「これは、昂校尉の奥さんが髪かざりや衣服を売り払って、われわれの餞別に持ってきて下すったお酒だぞ」
そういい聞かされて、兵隊たちへ酒をわかつと、みな感激して、涙とともに飲み、士気は慨然とふるい昂った。