Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

エエッとばかり斬り下げて来た。

「あッ――」

と新九郎は額かざして横一文字に、ガッキと懸命に受け止めたが、小六の強刀に骨も砕けたかと思われて、よろりと腰を割ったが不覚、踵の土を踏みくずして、どッどどどどどとばかり底も知れない断崖へ真っ逆さまに墜ちて行った。

「む、ざまを見ろ」

と小六は駈け寄って、小気味よげに谷底を覗いた。松、柏、雑木の枝が、縦横に交じえている下には、真ッ青な渓流の水が透いて見える。しかしその水までは何百尺あるかほとんど計り知れない千仭の谷底であった。

「あ――可哀そうだねえ……」

とお延も小六の側へ寄って、目のまわるような下を覗いてみると、岩から枝へ、枝から岩へと落ち転げて行った新九郎の姿は、無残にも渓流まで落ちない中途で、藤蔓に掴まったまま、宙にぶら下がってしまった。

「野郎ッ、止めを刺してくれる!」

残忍飽くを知らない小六は、雨龍太郎の死骸に突き立っていた槍を引き抜いて来て、崕に臨んだ岩角に片足をかけた。

「むッ」

と小六は口一文字に結んで、生血の滴る四尺九寸の投げ槍の柄を、りゅうと右の眦の上まで石突き高に引きしごいて、穂先下りに目の下の新九郎の影へ狙いを定めた。