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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

四

オオ、多言は無用、支度をせいッ」

「ウム、さらばその後の上達ぶりを見てやろうか」

自斎は悠然と編笠の紐を解く。

ギラリと輝く明眸、茶筌に結い上げた逞しい赭顔が現われる。左の掌で、黒漆の髯を軽く抑えて、ズイと一足前へ出た――

出た途端に、右手の鉄扇が、ピュッと新九郎の眼の前へ一文字をつけ、

「支度は済んだ、いざ、参ろうぞ!」

気殺! まず気をもって対手の胆を挫ぐ破れ鐘声。

が――新九郎の今日までの鍛練、さすがに、そのくらいなことでは竦みはしない。

「むッ、参るぞ!」

ブーンと右手の赤樫が虚空に唸って、地に落ちるかと思うと中段にピタリと止まる。

見事につけ澄ました平青眼。

自斎の鉄扇も片手構えの相青眼。

剣尖と扇の先は、触れず着かずの微妙な間を保って、双方ブルとも動かなかった。

「アア気が揉める、ただの喧嘩なら飛び出して後ろへ廻るがそうも行かねえ」

彼方に離れて、二、三間の所を、ウロウロしているのはこんがら重兵衛。この鐘巻自斎を、たった一本打ち込みさえすれば、福知山一藩松平家の名誉恢復となり、重蔵の忠死空しからず、新九郎もかがやく武門の栄光を負うことになるのだと聞いているので、いッそ、石でも打つけて加勢してやりたい気組。