Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
四
四
深見重左は、刎頸の交わりをゆるしていた臂の久八が、その客分投げ槍の小六と共に、新九郎等のために殺害されたと聞いた時、既に、彼を狙うの殺意は、充分胸に醸されていた。
「見つけ次第に、あの青二才を打っ斬ってしまえ」
と配下の者に言い渡しておいたが、上野の丘ではかえって散々な目に遭い、溜池ではあの失策、いつか山手組の悪名は町に高く、一本立ちの素浪人、御曹子の名に箔をつけて行くばかりとなった。
今は折よく、日本橋の袂で、重左自身が彼の姿を見つけたのであったが、場所がら人目も多いので、しばらく手を引いている間に、思いがけない鳶に油揚をさらわれた形となったのだった。
夜の九刻ごろ、押田仙十郎は宙を飛んで氷川下の屋敷へ帰ってきた。すぐ奥へ通って、吉左右を待ちかねている重左の前へ出た。
「おう仙十郎、ご苦労であった、シテ様子は?」
「しかと見届けて参りました。やはりお察しの通り、あの女中どもは、菖蒲の寮の召使で、一人は水瀬と申す老女でござりました」
「む、案の定だな」
重左は、麻のような髯をしごきながら、底光りのする眼を晃かした。
「そして、新九郎の駕もたしかに寮へ入ったかの」