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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「巡り会わねば知らぬこと、覚明の姿を見てはそのままには致しおけぬ、昔は知らず、どうやら鍛えた新九郎の腕前のほどを思い知らしてくれねばならぬ」

「なるほど、それは果し状をつける値打がござりますわいの、及ばずながら、見証の役目は妾がお引受けしましょう程に、立派におやりなされませ」

「して、御方と覚明とのお関係いは?」

「何の仔細がありますものか、あれは妾がほんの当座のなぐさみ者、情夫がわりに眼をかけてやった下人に過ぎませぬわいの」

「えッ?」

新九郎は脳天を鉄槌でガンとやられたほど愕りとした。いや自分の耳を疑った。そしてしばらくは口もきけずに、御方の顔をまじまじとみつめているのみだった。

六

「淫魔だ! ここは怖ろしい妖花が男の生血を啜る伏魔殿!」

と、気のついた時は、新九郎の体も粘い巧緻な淫女の蜘蛛の巣に、手も足もすべての自由を奪われていたのだ。

御方は、放胆に外面をかなぐり捨てた。しかしその下の相は更に妖しいまで美しい。艶なる魔魅、誘惑の毒壺から、紅と紫色の焔が燃えているような瞳――

「おどろくことはない。お前様はもう女を知らぬ男ではないのですぞえ。初めてこの寮で体を養生なされていた頃、妾が一念で摺り変えた眠り薬を、それとも知らずに飲んで夜な夜な深い夢をご覧じたであろうが」