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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

蜘蛛手縢り冥府の駕

一

「そうじゃッ! 試合え」

「おお心得た」

自斎はポンと笠を投げて、再び道場の真ン中へ立ち戻る用意をした。

蜘蛛手縢り冥府の駕

一

「春日新九郎! 心の準備はよいであろうな」

白面蒲柳の彼を睥睨して、ふたたび道場の床に立った鐘巻自斎、その声はにわかに峻烈となり、木剣を把らぬ先に、対手の肺腑を抉りぬいて響いた。が、谺返しに、

「念には及ばぬことだ! いざッ」

と叫んだ新九郎にも、一念の迸しるところ、おのずから凜々たる気魄があって、彼の圧倒へ全力をこめて反抗した。

「いや!」

自斎は二度までも、焦心こむ新九郎の出足を挫いて、

「身支度ではないぞ、形の支度ではござらぬぞ、心の用意、即ち修行という鍛えはたしかにしておいたかと申すのじゃ」

「要らざることを云うなッ。事改めて申すまでもないが、汝の悪剣のために泥塗られた福知山方の汚名、また、不具となった兄重蔵の怨み、二つながらこの新九郎が木太刀の髄にこもっているのじゃ」

「おお、それゆえ何時でも望みの時に立合おうと、かねて誓いを致してやった」

「その日は今日だ! 修行の長い短いばかりで、勝敗の決まっているものではあるまい。新九郎が一心の木太刀で、今という今こそ、兄の重蔵同様、汝の脛を打ち折ってくれねば熄まぬのだ。