Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
四
「何も騒ぐことはござりませぬわいの。ここはどうあれ、妾の口一つで、後からきっと二人は助けてとらせまする。さ、新九郎様も早うこの駕に乗って、一先ず寮へ参られた上のご思案となさりませ……」
捕手の列の中には、乱闘に紛れて山手組同様な無頼者と睨まれたこんがらとせいたかが、無残や、手縄十手囲いとなって引ッ立てられて行ったのである。
四
小野宗家を破門され、生不動には死なれ、さし当ッて寄家もない身となった新九郎は、そのまま菖蒲の寮の恋、金泥がこいの一室に贅沢な食客となって、御方の手で、こんがらとせいたかを助け出してくれるという言葉を信じて幾日かを過ごしている。
けれど御方は、あれ程手をくだいて新九郎を寮へ連れて来ながら、彼を綺羅な一室に擒にしてから滅多に訪れて来ることもなく、また広い屋敷うちなので、優婉な姿を庭先に見せることも極めて稀であった。
新九郎は何だかそれが物足らなくなった。ある日は無性に悩ましく、ある夜は燃えるように御方の白い肌が恋しかった。その懊悩と無聊は、いつぞやの酒の美味を思い出さして、侍女のすすめる儘に、近頃は二合、三合と酒の手を上げて、五、六合も過ごした夜でも、ほろりとなったくらいにしか覚えなかった。