Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
二
老いたりといえども正木作左衛門、これより直ちに千浪を奪い返してまいるわ」
と袴の股立ち取って駈けでようとするところへ、お村は奥から取って返して、
「旦那さま、お槍を――」
と蝋色柄に笹穂の刃渡り八寸の短槍を手渡すと、作左衛門は莞爾と受け取って、ぽんと鞘を払い捨てるや右脇に引ッ抱えて、
「五平を介抱致してつかわせ」
とただ一言、如意輪寺裏を指して、疾風の如く飛んで行った。
二
不意に消魂しい女の叫びが、如意輪寺裏の幽寂の梅林につんざいた。――もう散り際にある脆い梅花は、それに愕いたかのようにふんぷんと飛片を舞わせて、香わしい夕闇に白毫の光を交錯させた。
続いて凄じい跫音と同時に、嵐のような勢いで一団の武士が一人の女を引ッかついで来た。そこには生田馬場の敗辱に気を腐らせた京極家の若侍輩が、鬱憤ばらしに飲み散らした酒の宴莚が狼藉になってあった。
「ここでよい――」
とその中でも逞しい武士が手を挙げると、女は鞠のように莚の上へ下ろされた。若侍達は重大な手柄でも仕果たしたかのように、各の盃の前に坐ってやんやという騒ぎ方である。
「成程、いかさま稀な美人、これでは先生のご執心も無理ではござらぬ」