Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
七
七
この大胆不敵な勝負を見た大円房覚明、みるみる怒気心頭に発して、声荒ららかに、
「すぐ続けッ。無明房――いや、この上は手早く四天王の方々より一名出られい!」
と叱咤した。声に応じて進み出た者は、これなん大円房が四天王の随一人、河内房了海という六尺豊かの大山伏であった。
「あいや春日殿、某は当道場の四天王の一人、河内房と申す者、金剛杖の馳走ばかりにては定めし貴殿も飽きつらん。拙者は鏡智流の独壇とする戒刀型の木太刀をもってお対手申さん」
と倨傲に云い放った。変った物は何でも望むところと新九郎は勇気凜然。
「それこそ望むところ、願わくば戒刀の秘訣を拝見致したい」
「おおよく申されたり。臍を噛んで後に吠え面掻かるるなよ」
と河内房が引ッ提げて来た革袋から抜き出したのは、鉄の如く磨き澄ました、栴檀造りの無反三尺の木太刀、これぞ優婆塞が常住坐臥に身を離さぬ戒刀になぞらえて、作りなしたる凄い業物。悪鬼怨霊、天魔鬼神も挫ぐという大円鏡智流の手並やいかに。
「いかに春日殿、お仕度はよきや」
「ご念におよび申さぬ」
と二人の面上、早くも一脈の殺気満々。
「ええッ」
と新九郎は木剣を引いて下段に構えた。