Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

七

「あッ、あれだ」

膝の傷手を、噛みこらえて、まッしぐらに駈け出した新九郎の鬢の毛は、風を衝いて、後ろへ流れる。

七

「面倒だッ」

命知らずに、伝吉の構えた手元へ、鋭く斬り込んだ独鈷の仁三、パチン! 火花に眼を射られて、身を反りかえした胸先へ、

「むッ」

と金剛力をこめた伝吉の一刀、わッと血煙りが立ったが最期、血をみた狼、ガッキガッキ滅多撃ちに詰めかかる。

受けるは一本刀、さすがの伝吉も、ジリジリと一足一足斬りまくられて、危うく辻堂の縁の角へぶつかるばかりになった時。

待ちかまえていた舞鶴の新造が、ここと、握り直した脇差を、真ッ向にかぶった、途端に、

「おのれッ」

と不意に、新造の脇腹を突いた流星一閃、

「わッ」

と朱を飛ばして、縁から落ちた新造と共に、突き刺した者も、折り重なって、どッとそこへ倒れてしまった。

「あッ、親分が――」

と叫んだ他の者は、気を落してバラバラと逃げだした。それを、七、八間、追い散らしていって悠々と戻ってきた由良の伝吉は、その時、はじめて新造の死骸から血刀を抜いて、身を起している一人の侍に不審の眼をみはったのである。

むこうも、何者か? という様子で、ジッと伝吉の姿を見透かしてきた。