Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
六
そして、新九郎はと云えば、ほとんど無意識に、体へぶつかった巨木へ抱きついていたのである。
間もなく、彼はすべてが分らなくなった――
水の上の世界は更に凄惨である。吹きすさぶ嵐は鳴りも止まず、水魔の躍り立つ川面一帯は、篠つく大雨にただ真ッ白に煙っている。
六
笊組一まきと生不動との、かなり根深い確執は、江戸侠客の本尊仏、幡随院長兵衛の死からその端を発している。
長兵衛が横死を遂げたのは慶安の四年であるから、歳を繰れば、今年は幡随院歿後ちょうど四年目にあたる。
笊組の荒神十左、臂の久八なども元は唐犬組や夢組とともに、幡随院一まきの町奴だったが、奉行神尾備前守が、裏面からの運動に迫られて、旗本争闘に与した町奴を、残らず召捕る手配にかかった。その詮議の峻烈さに唐犬組や夢組も、散りぢりばらばら御府内朱引内から足を抜いてしまった。
その後で、二代目長兵衛顔をしている荒神と臂の両人だけが、なぜこの江戸で全盛振りを示していられるかといえば、この両人だけが幡随院歿落と同時に、一まきの者へ寝返りを打って、奉行の手先となって御用を勤めたのみか十手を預って召捕の手まで貸したからであった。