Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「や、それはしまった!」
小六は膝を丁と打って、
「もう一足早かったら、大月氏とここで会えたものを」
「えッ、ではいつ頃ここへ見えましたか」
「つい今朝ほどでござった。見るからに眼の鋭い一名の浪人が試合を申し込んで参った。ところがまことに稀代な一刀流の達者で、遂に拙者も一本の勝ちを取られたゆえ、あの通りの目録を貼り出したのでござる。今承わればその人こそ貴殿の尋ねる大月玄蕃で、そうと知ったらなお詳しいことも聞いておくのでござったのに」
「さほど僅かな違いであったとは、残念千万、して玄蕃めは――いや大月氏は、どこを宿と致しておりますかお聞き及びはござりませぬか」
「されば深いことは存ぜぬが、今日一日江戸見物を致した上、奥州路へ発足、仙台の城下へ参って一刀流の町道場を開くとか申しておりました」
と聞くより、千浪と重蔵は胸の血を高鳴らせて、言葉忙しく小六に礼を述べ、火除地の人混みを分けて、互に何か希望に満ちた囁きを交わしながら、いずこともなく立ち去った。
その後ろ姿を見送って、
「うふッ……」
口を押さえて笑ったのは小六である。
「ああ罪だ罪だ。あんな人達を騙すのは本当に寝ざめが悪い。