Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「見ず知らずのお前さんに、私ゃ何も聞くようなことはございませんよ。それに何だね、話ぐらいなことに体を貸せの何のと……、ちぇッ、いけ好かない人だ」
「不意に申したのでは、お腹立ちも尤もじゃ」
罵られながら、侍は怒りもしないで、なお丁寧に、
「某は、春日新九郎殿――今では御曹子の新九郎と云わるる方に、以前一、二度お目にかかったことのある者、その御曹子殿のお身にかかわる、一大事を耳に挟んで参ったのじゃが、なんと報らせて上げてはくれまいか」
「えッ……」
お延は胸をギクリとさせたが、また疑わしく思い直して、
「その新九郎さんと、私が懇意だということを、どうしてまたお前さんはご存じなんですえ」
「今し方、扇屋の奥二階でチラとお見受け申したのじゃ。しかし、拙者の口から新九郎殿へ、直にはちと話し難い事情……女に絡んでいることゆえ、やはり女の口から伝えてもらいたい」
「え、女のことで? ……」
お延の眼が、たちまち嫉妬に燃えあがる。侍は呟くように、
「何にせよ、あの人には、他にも深い事情がらのある女がござってのう……」
胸に手を入れて案じ顔。
「なるほど、この人混みの中で、立話しのできないのはご尤も、どこへでも参りましょう」