Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
六
――が、咄嗟に御方の眼を怖れてあたりを見廻したが、折よく、その姿がなかったので、崖伝いにザワザワと二人の後を慕いだした。
六
昨日、溝口伊予が玄蕃を引取って行った時の約束では、「たとえ一刻でも、彼の身柄を引取れば京極家の面目は立った訳ゆえ、玄蕃が丹後守へお目見得に出向く途中、外桜田の弁慶堀に待ちうけている、随意に本懐を遂げられたい」という手筈。
そして、場所、時間まで言い残し、双方とも助太刀介添のことなし――とまで極っていた。で、愛宕の下屋敷を辞した春日重蔵と千浪は、定めの刻限に弁慶堀へ来て、附近の羅漢堂に腰を下ろし、今や遅しと玄蕃の来るのを待ち構えていた。
もう、とっぷり夜に入っていた。
後をつけて来た新九郎は、まさか今ここで仇討のあるということは知らないのであるが、昨夜と言い、今夜と言い、何か仔細あり気な兄の行動に、しばらく羅漢堂の裏に影を潜めている。
ひそひそと交わしていた二人の会話で、新九郎もさてはと胸を躍らせた。二度とこの醜い自分の姿を見せまいと思っていたが、せめて一期の詫に助太刀して立去るも遅くはないと考えた。
「オオ重蔵様――」
その時、千浪が溌剌とした叫びをあげる。