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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

受ける、躱す、跳びさがる――、さすがの彼も新九郎の獅子奮迅を扱い疲れて、またジリジリと浮腰になった刹那、木の根の濡苔を踏んでふらりとなったところへ、雷霆の一剣あやまたず大月玄蕃の横鬢から頬へかけて糸のような一筋の紅を掠った。

「ぷウッ……」

玄蕃は、唇から血を吹いて物凄い形相。そして左の掌で傷口を押さえ、鬼丸包光を右の片手使いに持って、眼は爛々、ジリ、ジリ、と片足さがりになって行く。彼の鋩子が一寸さがれば一寸、二寸さがれば二寸、あたかも闇の中に二本の銀蛇がつながっているように、極く僅かずつ移って行く。

五

「大月玄蕃殿の姿が見えぬ」

という声は、誰の口からともなく、今度は、

「奥庭に曲者が入り込みましたぞ、お出合いなされ、お出合いなされ」

という物々しい叫びと変った。

折から、太守丹後守は、宵に中屋敷へ行っていて、家老溝口伊予がお留守の殿詰をしていた。

伊予は、時ならぬ騒動を知るや、

「素破、変事!」

と、青嵐の間の長押から、手槍をとってバラバラと長廊下へ現れ、近江八景を模したという奥庭を見渡すと、足軽や若侍たちの右往左往する提灯が、さながら蛍を散らしたよう。