Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「えいッ、無極刀!」
その鋭さに、新九郎はハッと気竦みを覚えて日頃鍛練の梢斬りの飛躍の呼吸をもって、咄嗟に上に跳びかわそうとしたが、ほとんど、その隙もなく左典の返した上段刀が颯然来た。
「新九郎ッ、そちが自斎に打ち込まれた太極の太刀はこれだ!」
「なにをッ」
木剣を眉間のあたりに半月に構え、左典の太極剣を発矢とうけたが、その途端に、三尺赤樫の木太刀は、パキンと真ん中から折れて、尖の破片ばかり、あたかも独楽を舞わしたように、クルクルクルと、虚空を飛んで、此方にいた千浪と御方の上に危なく落ちて来ようとした。
「あっ――」
身を避けながら、思わず軽い声を揚げると、それに気づいた左典と新九郎が、ひょいとこっちへ振り向いた。
恋と剣解脱の涼衣
一
「やや、あれにおるのは? ……」
御方が目をみはると、千浪もびっくりしたさまで、
「オオ尋ねるお人じゃ、新九郎さま、新九郎様ではござりませぬか」
思わず呼ぶと、月影を透かして、ジッとこっちを見た新九郎、ハッと今の身を忘れて、手の木剣をカラリと捨てた。
「千浪殿か――おお御方も!」
ばらばらと駈け寄ろうとする、――と後ろからその襟がみを掴んだ神禰宜の左典、雷のような気合をかけて新九郎を大地へ投げつけ、その利き腕を捻じ上げて、脊骨のくじけるほど踏み押さえた。