Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「これは千万かたじけない……お、あの木戸口へ見えた者どもでござるかな」
と浪人が指さす庭先へ、ぎょろりと瞳を向けた雨龍太郎は、
「そうだ」
と大きく頷いて待ち構えた。
「お頭、やっと引ッからめて参りました」
とそこへ春日新九郎と戸川志摩の縄尻を持たせてついて来た洞門の権右衛門が、
「坐れッ」
と二人を雨龍の正面に引き据えて、自分も傍へうずくまった。
「うむ。ご苦労だった。――こいつらか。やいッ面を上げろ」
と雨龍太郎の声は山寨を揺がすように落ちて来た。
「その生ッちろい若蔵は知らぬが、六部の方はどこかで見たことのある奴だ。はてな、やいッ、汝はただの六部ではあるまい。いや余人は知らずこの雨龍の目は掠められぬ。それ権右、奴の肩をはぐって見ろ」
「へい」
と洞門が立ち上がって、戸川志摩の襟を掴んで肩先を脱いで見せた。
「それ見ろ、あまねく諸国をめぐる六部なら、肩に笈摺の痕が見えぬ筈はない。ははあ読めた。うぬは亀岡藩の諜者だな。仮面を脱げッ、この馬鹿野郎めが!」
と大喝して、はッたと志摩を睨み据えた。
戸川志摩は雨龍の眼力にはッとしたが、見現わされた上はかねての覚悟、早くも臍を決めて、眦を釣り上げ、きっと睨み返して云った。